Vol.7 モヤシのあれこれ
◆洗って丁寧にヒゲ根を取りしっかり水気を取ったモヤシを、強力な火力で炒めた中華のモヤシ炒めは本当に旨い。ちゃんとした中華料理屋に行く機会があったら、メニューに無くとも一度は頼み込んで食べる価値がある。世界料理遺産100を選ぶ機会があれば、絶対に入れたい一品、というぐらいホントに旨いんだ。たかがモヤシだし、法外な値段を取られることもないので、その気になったらぜひお試しを。
◆で、モヤシだけど、スーパーには3種類のモヤシが並んでいるはず。
裏面に書いてある原材料を見て欲しい。たぶん、ブラックマッペ、リョクトウ(緑豆)、大豆などと書いてある。
「ブラックマッペ」はかつては「あずきモヤシ」と呼ばれ、黒い種皮が付いていた。
「リョクトウ(緑豆)」は春雨や東南アジアの汁粉の原料でもあり、ここ30年位の主流。
「大豆」は韓国のナムルでお馴染みの黄色くて大きな豆が付いている。
食品のモヤシとは豆科の種子を発芽させ、日光に当てないことで、白く長々と伸びた「根と茎と芽」のこと。
生物学的には種子が発芽した新芽のことで、貝割れ大根や豆苗・アルファルファ・ブロッコリースプラウト、最近出てきたソバスプラウト・空心菜スプラウトもモヤシ。スプラウトとは英語でモヤシという意味。
◆長々書いてきたのは、モヤシってとてつもなく素晴らしいて事を知って欲しいから。
野生のものはもちろん、畑に種を蒔いて米や花や野菜や果物を作る…水をやってるだけなのに、どうしてバラやキュウリや西瓜ができるのか不思議だと思わない? 僕はずっと不思議だった。
小学校で観察日記を付けたアサガオやヒマワリも、巨大なクリスマスツリーになるモミノキも・屋久島の縄文杉も、始めはちっちゃな種ひと粒。
吹けば飛ぶよな種が、自分の周りの水分と温度をモニターして発芽のタイミングを知り、重力に逆らって重い土を押しのけ、太陽の光を捕まえて育つ「植物」。
巨大な例を挙げれば、世界最樹高の樹木「セコイア」は一粒の種が115mにまで育つ。
◆そのわけは種の中にすべての元が既にあるから。
鶏の玉子が何の栄養も取らずに、やがて完全な鶏の仔=ヒヨコ生まれるのと同じこと。
(ちなみに、玉子の黄身がヒヨコになるのではありません。黄身は受精卵がヒヨコになるまでの完全栄養を備えた宇宙食みたいなもの)
◆さてさてモヤシのこと。
種のままではまだまだちっちゃな可能性の塊りに過ぎないけど、時期を得て“発芽”を始めたモヤシは、この後とんでもない変化を起こす「植物の生命力の息吹き」そのもの。
それがたかだか数十円!! 毎日食べない手は無いでしょう。
By the way、ちょっと力みすぎたのでこの辺で直感レシピを
◆「ゆで烏賊とモヤシの和えもの」
暑い季節にバッチリの、チャイニーズスパイシー&シャキシャキさっぱり&ウマ濃い味の中華冷采。
調理は簡単。茹でたモヤシの上に茹でた烏賊を乗せ、タレをかけて香菜を散らす。胡椒・豆板醤・ラー油・カラシなどを添える、以上。
◆ウチの定番のお薦めのタレ
生のネギ・ショウガ・ニンニク・ニラのみじん切り、醤油・豆板醤・甜面醤・オイスターソース・紹興酒・鎮江香醋(中国黒酢)・胡椒・ラー油・ピーナツオイルか胡麻油を混ぜる。
濃厚にしたければ少し煮詰める。
※全部揃わなくても全くかまわない 塩気・甘み・旨み・酸味と、好みで辛味をつければいい
油をオリーブオイルにしたり、手持ちのハーブ・スパイスを加えてホントの無国籍にして楽しむべし
※香菜 =シャンツァイ・パクチー・コリアンダー
◆で、一番言いたかったヤシの茹で方!!
①ボウルに入れて流水に晒しながら、指で掬い取る(こうするとゴミや根や千切れた部分が除ける)
②鍋に入れてたっぷりの水を張り、強火にかける
③水温が偏らないよう、箸などで鍋の中を混ぜながら
④鍋底から気泡が出始めたら、すぐに大き目のザルにあけて水気を切る
⑤夏場なら扇風機やクーラー、冬場なら戸外の風に当てて冷ます。
◆絶対に水に晒さないこと! これが最大のコツ。
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